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北海道から九州にかけて8種類のヘビが生息しているが、毒蛇はマムシとヤマカガシ(北海道には生息しない)のみである。しかし、実際にヘビをほとんど見たことがなければ、この2種類を判別することさえ難しく、また、草むらなどで咬まれた時などはヘビを確認できないことも多い。
このような時は牙痕や症状から判別しなければならないが、まれに腫脹がわずかであるにもかかわらず、受傷後短時間で出血傾向の見られる重症マムシ咬症があり、これがヤマカガシ咬症と間違われることがある。このような重症マムシ咬症は、その転帰がはやく、早急に適切な処置を行わなければ、死に至る危険性が高い。
受傷直後ではあまり腫れも進行していないため重症化するかどうかの判断はできない。わずかでも症状がみられれば、必ず経過観察を行い、進行するようであれば入院により経過観察を行う。受傷後短時間で診断して、簡単な処置をして帰宅させたケースで、その後しばしば重症化してしまうことがあるので、注意が必要である。
※診断に確信が持てない時や抗毒素投与のタイミング、アナフィラキシーの予防などについて堺(主任研究員)まで
遠慮なくご相談ください。夜間は研究所の留守番電話で緊急の連絡先を案内していますが、メッセージが流れるまで
少し時間がかかりますので、切らずにお待ちください。
また、日本中毒情報センターにも登録されていますので、そちらでも緊急の連絡先を聞くことができます。
携帯では一応24時間対応しておりますが、夜間は咬症など緊急の場合に限らせて頂きますので、ご了承下さい。
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ヤマカガシ
咬症: |
毒の主な作用は血液凝固作用(プロトロンビンの活性化)であり、その作用は強く、時にはフィブリノーゲンがほとんど0まで減少する。腫れや痛みはほとんどなく数時間後から1日ほど経過した後出血傾向が現れる。毒の直接作用によりDIC(播種性血管内凝固症候群)を引き起こし、さらに血栓形成により腎糸球体が閉塞し、急性腎不全を起こす。
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| マムシ咬症: |
一般には腫脹と疼痛が見られ、腫れの進行に伴って出血傾向や急性腎不全を起こしてくる。しかし、まれに腫れがわずかで、咬傷後数時間で全身性の出血が現れる症例がある。このような症例では急激に血小板が減少し、皮下出血だけでなく激しい消化管出血を起こし危険な状態に陥る。 |
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| ※マムシ咬症では、腫脹や疼痛が軽度であっても重症化するケースがあり、毒が急速に血管に入った時には、毒の血小板凝集活性が急激に作用し、血小板が短時間で減少する(1時間以内に1万以下まで減少)。そのことによって顕著な出血傾向を引き起こす。このような症例がしばしばヤマカガシ咬症と間違われる。しかし、ヤマカガシ咬症ではフィブリノーゲンの減少が主体であり、マムシ咬症では血小板の減少が主体であるため、経時的に血液検査を行うことによって毒の注入の有無やヘビの判別、重症化の診断が可能である。 |
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ヤマカガシ咬症 |
重症マムシ咬症* |
| 腫 脹 |
− |
軽度〜中程度 |
強度 |
| 疼 痛 |
− |
−〜+ |
+++ |
| 出血傾向 |
+++
(歯肉、注射痕、出血斑、消化管) |
+++
(注射痕、出血斑、消化管) |
−〜+++
(数日後血小板が
減少してから) |
| 凝固系など |
フィブリノーゲンが減少
血小板は後で減少
線溶活性が亢進 |
血小板が数時間で急激に
減少 |
血小板が腫脹に伴って徐々に減少 |
| 血圧低下 |
− |
急 激
(受傷後数時間) |
稀
(腫脹が進行後) |
| 尿 |
ヘモグロビン尿 |
ミオグロビン尿、血尿 |
ミオグロビン尿、血尿 |
| その他 |
一過性の激しい頭痛、
出血傾向、DIC、急性腎不全 |
複視、呼吸不全、心不全、
急性腎不全、(DIC)
多臓器不全
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複視、急性腎不全、呼吸不全、心不全 |
| 死亡まで |
数日〜10日
(脳内出血症例) |
1〜数日 |
数日〜1ヶ月 |
*:ここでは重症例のみに限定しており、それを腫れの程度で2グループ分けています
| GradeT: |
受傷局所のみの腫脹
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| GradeU: |
手首または足首までの腫脹 |
| GradeV: |
肘または膝関節までの腫脹 |
| GradeW: |
一肢全体に及ぶ腫脹 |
| GradeX: |
一肢を越える腫脹
または全身症状を伴うもの |
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※これらはピーク時の腫れにより分けたものであるが、腫れの拡がる速さは、症例によりかなり異なる。数時間で腕全体に腫れが拡がるものから、3日近くかかるものまでかなり差があるので、受傷後数時間で重症化するかどうかを判断するのは非常に難しい。 |
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| 重要な検査項目(以下の検査を経時的に行えば、マムシとヤマカガシの判別、重症化するかどうかの診断が可能です) |
○抹消血 ○生化学
赤血球数(RBC)、ヘモグロビン(Hb) クレアチニンフォスフォキナーゼ(CPK)、尿素窒素(BUN)
ヘマトクリット(Ht)、血小板数(Plt) クレアチニン(Cre)、血清ミオグロビン(Myogobin)
○凝固線溶系 ○その他
出血時間(BT)、フィブリノーゲン(Fibg) 血圧(BP)、尿量、尿潜血
フィブリン/フィブリンーゲン分解産物(FDP) 動脈血ガス(PaO2, PaCO2)(重症時のみ)
活性部分トロンボプラスチン時間(APTT) |
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| 参 考 資 料 |
・特集 毒蛇咬傷「ヤマカガシ咬症」、堺 淳、中毒研究 Vol. 20, No. 3, 2007.(日本中毒学会機関誌)
・特集 毒蛇咬傷「輸入ヘビによる咬症」、堺 淳、中毒研究 Vol. 20, No. 3,
2007.(日本中毒学会機関誌)
・中毒症のすべて−いざという時に役立つ、的確な治療のために、「ヘビ」 堺 淳、編集 黒川顕、永井書店
・今日の診断指針「ヘビ」 堺 淳、第5版、2002、医学書院
・EBMに基づく臨床データブック「マムシ、ハブ、ヤマカガシ」、堺 淳、臨床医 Vol. 27 増刊号 2001,中外医学社
・フィールドワーカーのための毒蛇咬症ガイド、堺・森口・鳥羽、爬虫両棲類学会誌、2002(2)
・マムシ咬傷の治療方針、高村高志他、アルカロイド研究会会誌、vol. 26, 2000.
・マムシ咬傷の治療方針のフローチャート、佐賀大学救急部監修(化研生薬、アルカロイド研究会のページから
入手できますwww.kakenshoyaku.com/01/index2.html)
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